食中毒






夏よりも冬に食中毒が多いというのは意外に感じます。
冬はノロウィルスという感染力の強いウィルスが流行しますので感染者数が多くなるのです。
細菌性、ウィルス性、化学性、自然毒中毒
※ 表は横スクロールができます。
食中毒 | 原因 | 時間 | 症状 |
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セレウス菌 | 肉類、スープ類、 炒めものなどの中途半端な加熱 | 嘔吐型1~5時間、 下痢型8~15時間 | 嘔吐型は黄色ブドウ球菌に類似、 下痢型はウェルシュ菌に類似 |
黄色ブドウ球菌 | 常在菌、化膿した手などによる調理 | 1~5時間 | 嘔気、嘔吐、腹痛、下痢 |
ウェルシュ菌 | 煮込み料理など | 8~12時間 | 下痢、腹痛 |
リステリア | 乳製品、食肉加工品 | 数時間 | 発熱、頭痛、悪寒、嘔吐 |
サルモネラ属菌 | 卵、卵の加工品、食肉(牛レバ刺し、鶏肉) | 8~48時間 | 悪心、腹痛、下痢、嘔吐、発熱 |
腸炎ビブリオ | 魚介類 | 12時間 | 腹痛、下痢、嘔気、嘔吐、発熱 |
病原性大腸菌(下痢原性) | 牛肉の加熱不足 牛糞堆肥を使った野菜 | 12~72時間 | 下痢、腹痛、発熱、嘔吐 |
ノロウィルス | 二枚貝など | 24~48時間 | 嘔気、嘔吐、腹痛、下痢、頭痛 |
カンピロバクター | 生肉(鳥刺し、レバ刺等)、飲料水、牛乳、生野菜 | 2~3日 | 腹痛、下痢、嘔吐、発熱、筋肉痛 |
エルシニア | 食肉、サンドイッチ、野菜ジュース、井戸水 | 2~5日 | 腹痛、下痢、発熱、虫垂炎症状など |
ボツリヌス菌 | 缶詰、瓶詰、真空パック、レトルト類似品など | 8~36時間 | めまい、頭痛、言語障害、嚥下障害、呼吸困難 |
キノコ毒 | ツキヨタケ、カキシメジ、クサウラベニタケ | 毒の種類による | 嘔吐、下痢、腹痛、痙攣、昏睡 |
トリカブト | 花、漢方薬 | 数十分 | 嘔吐、下痢、呼吸困難 |
フグ | フグの肝臓、卵巣 | 5分~45分 | 嘔吐、しびれ、麻痺(呼吸筋など) |
シアン化合物 | メッキなど、化学繊維の燃焼でガスが発生 | 数秒~1分 | 失神、痙攣、呼吸麻痺 |
有機リン | 殺虫剤、除草剤 | 数分 | 縮瞳、痙攣、失禁、嘔吐 |
感染性胃腸炎
ノロウイルスが原因の1つである「感染性胃腸炎」は、年間で約100万件も報告されており、死亡数は毎年2000件を超えています(厚労省)
※ 表は横スクロールができます。年度 | 2007 平成19年 | 2008 平成20年 | 2009 平成21年 | 2010 平成22年 | 2011 平成23年 | 2012 平成24年 | 2013 平成25年 | 2014 平成26年 | 2015 平成27年 | 2016 平成28年 | 2017 平成29年 | 2018 平成30年 |
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定点報告数 | 989,647 | 1,056,747 | 814,793 | 1,238,681 | 983,634 | 1,231,061 | 1,071,415 | 1,005,079 | 987,912 | 1,116,800 | 871,927 | 850,138 |
死亡数(人口動態統計) | 2,208 | 2,163 | 2,088 | 2,293 | 2,295 | 2,698 | 2,569 | 2,405 | 2,332 | 2,502 | 2,358 | 2,363 |
以下、厚労省HPから引用:上のグラフについての注意事項 ※数値については令和2年4月22日更新
資料:報告数は「感染症発生動向調査事業」に基づく全国約3,000の小児科医療機関からの報告によるもので、すべての患者数を把握するものではない。一方、死亡数は厚生労働省統計情報部「人口動態統計」によるもので、死亡数は定点報告数の内数でないことに留意が必要。(例えば、平成20年で、死亡数2,163人÷定点報告数1,056,747のような死亡率の計算はできないことに注意)参考:人口動態統計は出生、死亡、婚姻等の統計であり、死亡については、死亡診断書に基づく死因の分類がなされている。
病院や社会福祉施設でノロウイルスの集団感染が発生し、当該施設で死者が出たことがあります。しかし、もともとの疾患や体力の低下などにより介護を必要としていた方などが亡くなった場合、ノロウイルスの感染がどの程度影響したのか見極めることは困難です。なお、吐いた物を誤嚥することによる誤嚥性肺炎や吐いた物を喉に詰まらせて窒息する場合など、ノロウイルスが関係したと思われる場合であっても直接の原因とはならない場合もあります。
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column 感染力
2018年の食中毒の報告総数は1330件。 そのうちアニサキスは468件で1位(カツオ由来が増加)、2位の病原菌カンピロバクター(319件)、3位のノロウイルス(256件)を上回ったと厚労省の発表。 アニサキスは感染が広がらないため、患者数は478人で、ノロウイルス(8475人)やカンピロバクター(1995人)を大きく下回っている。 ノロは、感染力の強さに違いが表れているということです。
食中毒の発生は季節変動があり冬はウィルス、夏場は細菌性食中毒です。 ウィルス性は、ほぼノロウィルスです。 細菌性食中毒は感染型と毒素型(食品内毒素型)に別れます。
感染型(感染侵入型):サルモネラ属菌、カンピロバクター、腸管病原性大腸菌
感染型(生体毒素):腸炎ビブリオ、ウエルシュ菌、腸管出血性大腸菌、セレウス菌
毒素型(食品内毒素型):黄色ブドウ球菌、ボツリヌス菌、セレウス菌
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column 半数致死量 Lethal Dose 50%
LD1は最小致死量、LD100は最大致死量を示す。
※LDで表す毒の指標は急性毒にしか使えない.発がんのような慢性毒の尺度としては使えない。
表示規格あり:(例)経口 ラット 10mg/kg表を見ますと人工のものよりも自然毒の方がはるかに毒性が強いことが分かります(ベロ毒素は戦争で使用されたサリンの5000倍以上の毒性がある)表にはありませんが青酸カリで5~10、ニコチンで7ですから如何にタバコが有害かが分かります。植物由来のアルカロイドから多数の医薬品が作られたように毒をうまく利用する叡智が私たちには有るはずです。
毒名 LD50=mg/kg ボツリヌストキシン(ボツリヌス菌) 0.00000032 テタノスパスミン(破傷風菌) 0.000002 マイトトキシン(サザナミハギ) 0.00005 ベロ毒素(O-157) 0.001 VXガス 0.015 サリン(化学合成) 0.5